貞慶と明恵
こんばんは。
法善寺副住職の中山龍之介です。
本日は法事などのお寺での決まったスケジュールが特にありませんでしたので、スローな一日となりました。久しぶりにカイロへ行き、たらたらランニングで痛めた膝のケアをしてきました。
カイロと聞くとボキボキされるのを想像されるかもしれませんが、私が通っている掛川カイロプラクティックは少し違います。正に体をメンテナンスするように、ずれているところなんかを重点的にぐりぐりやって治していきます。その日はあまり実感が無かったりするのですが、次の日にはすっかり良くなっているので不思議です。ギックリ腰なんかもすぐに治してくれますので、お体の不調でお困りの方は是非。田原町駅の近くです。
ということで今日は、昨夜受けた東洋大学の授業について少し振り返ってみようと思います。
=============
法相宗と華厳宗
=============
さて、毎週金曜日の授業なのですが、オンラインであることに胡坐をかいて提出期限ぎりぎりの火曜日に毎週授業を受けております。先週は日蓮についてでしたが、今週は貞慶(じょうけい)と明恵(みょうえ)という二人についてと、それぞれの宗派である法相宗と華厳宗についてでした。鎌倉旧仏教と呼ばれる宗派みたいです。ですので時代的には、親鸞聖人や法然上人がご在世の頃です。これだけ著名な方が同じ時代を生きたというだけでもすごいですね。
細かいことをあれこれ書くのはよしますが、貞慶の説明の中に『弥勒信仰』という言葉が出て来ます。弥勒菩薩を信仰することですが、この弥勒菩薩は現在兜率天という天界で修行をしており、56億7千万年とか未来にこの人間界に降り立ち、人々を救うと説かれているお方です。一説にはその修行期間が57億6千万年とも言われていますが、とにかく長い時間修行をされているということです。
この弥勒菩薩の信仰には2種類あるらしく、今の弥勒菩薩がいらっしゃる兜率天に行けるよう願う上生信仰と、地上に降り立った弥勒菩薩に救われることを願う下生信仰です。
法相宗の細かい教えの内容までは授業で触れられておりませんでしたし、私自身も勉強不足で存じ上げませんが、これだけ聞くととても分かりやすい教えのような気がします。『弥勒菩薩に救いを求める』という点においては、『阿弥陀仏の他力によって救われる』と説く浄土系の宗派と似通っているところがあります。
ただ残念ながら、法相宗は今の日本ではマイナーな宗派です。浄土宗や浄土真宗ほどの広がりを見せていないという事実があります。おそらく教えの内容と言うよりは、布教の仕方が上手くいかなかったのではないかと思いますが、そういった点は来週以降の授業で学ぶことが出来るはずです。現代でもそうですが、必ずしも良いものが流行るという訳ではない、というのを歴史が証明してくれています。
華厳宗の明恵は、釈尊を慕う気持ちが強く、生涯で2度インドへの渡航をしようとしたことがあったそうです。ただどちらも実現には至らなかったそうです。1度目は義理の伯母に神が乗り移って取り止めるように諭され、2度目は直前に病にかかり、くじで占った結果断念したそうです。
インドに行くぞい!と言ったって、今みたいに飛行機も無ければ、船だってただの帆船である時代ですので、島国・日本から飛び出るのはそれだけでも命がけだったんでしょう。更に行き先はあのインドです。思えば私は2年半前にインドに行かせていただきましたが、家族には結構心配されました。大学時代は留学してましたし、社会人になってからもちょこちょこ海外には行っていたので、別に今更インドが何だと自分では思っていたのですが、周りの反応は少し違ったのを覚えています。
案の定、お腹を壊して帰ってきましたので、家族の心配は的中していたのかもしれません。それでももう一回行ってみたい、そんな不思議な国がインドです。
親鸞聖人はもとより、法然上人や日蓮さん、そして今回の貞慶や明恵など、鎌倉仏教の高僧たちについて学ぶと、彼らの志の高さに圧倒されます。富や名声のためでなく、『仏教を弘めたい』『民衆を救いたい』といった純粋な気持ちで動かれていたんだと思うと、頭が上がりません。
今みたいに生活が便利で技術的ではなかった時代にあれだけのことを成し遂げられたんだから、今の私たちは何でもできるぞ!と気合いを入れて、また頑張っていこうという気持ちになりました。
南無阿弥陀仏
Commentaires