二河白道
9/21のブログです。
こんばんは。
法善寺住職の中山龍之介です。
お彼岸も無事に2日目を迎えました。昨日は、入り日で、三連休の最終日で、天気も良くて、と好条件が揃っていたのでたくさんの方々がお参りにいらしておりましたが、今日も2日目の平日にしては多くの方がお参りにいらしておりました。
ちなみに、一番お墓参りの方が多い時間帯は11-12時です。絶対数はもちろん変わってきますが、何日目とか関係なくその日の中で相対的に一番混む時間帯がそれです。ですので、お時間帯を選べる方、静かな中でゆっくりとお墓参りしたい方、お寺の者とお話したい方などは、朝9時過ぎや午後2時過ぎなんかを選ばれると良いかもしれません。
明日は三日目、水曜日です。なんか曜日感覚が狂っておりますが、水曜日なんですね。お参りのご予定のある方は、お気を付けてお越しくださいませ。
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二河白道 ========
さて、法善寺ではお彼岸の入り・中日・結びの3日間は、午前11時より勤行をしております。終わった後にお話もしているのですが、今回は二河白道についてお話しようと決めておりました。お彼岸ではよく、どちらにも偏らないという意味の『中道(ちゅうどう)』という言葉がピックアップされますが、『道』繋がりで二河白道の話を引っ張り出した、という訳です。
ということで、東本願寺学院に通っていた時に二河白道についてのレポートを書いておりましたので、それを復習しがてらブログで改めて公開しようかなと思います。お付き合いください。
↓↓以下、東本願寺学院でのレポートを加筆修正したものになります↓↓
浄土教の教えを的確に表している二河白道の譬えは、七高僧の一人である善導大師が説かれました。
その話を簡単にまとめると、、、
荒野を西へ歩く旅人、気付くと後ろから盗賊が追いかけてきます。更にその背後や左右からは野獣や毒虫の姿もあり、旅人は西へ足を進め逃げ回ります。
すると今度は、燃え盛る火の河と、荒れ狂う水の河が目の前に広がりました。進むことも出来ず、戻ることも出来ず、留まることも出来ず、あきらめかけていたその時に、二つの河の真ん中に白い道が見えます。確かに道はありますが、あまりに細く頼りなく見える、これを渡るべきか悩んでいる旅人に後ろから『信じて進め』という声が聞こえます。更にその道の先からは『迷わず来い』という声が聞こえます。
旅人はその言葉を信じ、その白い道を進みました。無事に渡り切ることができ、盗賊や毒虫から逃れられ、安穏の世界に行くことが出来た、というお話です。
この譬えで登場する旅人は自分自身、東の岸は迷いの娑婆世界、西の岸は極楽浄土、水の河は貪りや執着の心(貪愛・とんない)、火の河は怒りや憎しみの心(瞋憎・しんぞう)、旅人に迫り来る盗賊・毒虫・獣は間違った考えを持った人々や惑わす人々、水火の間にかかる白道は清らかな信心、とそれぞれ表されています。そして、その旅人を導くのが、『行け』と『来い』という声です。これはそれぞれ、釈迦の発遣と弥陀の招喚と呼ばれ、釈迦の『その道を進め』という発遣と、弥陀の『この道を迷わず来たれ』という招喚となります。これにより旅人は、細く険しい白道を渡ることを決心するのです。
ここで登場する白道を信心とするならば、信心は自分で作り出すものではなく、与えられるものだという事がよく分かる。二河に譬えられる貪愛瞋憎渦巻く私達衆生の心の中に、阿弥陀仏が授けてくださっているものなんだなと思います。その白道に対して、釈迦は我々の背中を押し、弥陀は我々を受け入れてくれているわけです。
この二河白道の話は教行信証の信の巻において、親鸞聖人が説かれる三心の内の一つである回向発願心を表したエピソードして紹介されています。三心とは、至誠心・深心・回向発願心の三つで、浄土に往生するための正しい因のことです。
まず至誠心とは真実の心、嘘いつわりの無い心を指します。この至誠心をもって、法蔵菩薩は身口意の三業によって行を修められ、阿弥陀仏となられました。次に深心とは、深く信じる心です。何を深く信じるのかというと『我ら凡夫は今後も迷いの世界を離れる手掛かりがない』更には『弥陀の誓願は我ら衆生を救う』という二点です。最後に回向発願心とは、浄土に往生しようとする願いを指します。
つまり、法蔵菩薩は至誠心を持って行に励み、四十八願を立てて阿弥陀仏となられました。そして我々凡夫はそのはからいを深心し、仏が行ぜよと仰せになるものに行ずるわけです。更に回向発願心によって、我々衆生でも間違いなく浄土往生できる、と仏は仰っています。この三心が備われば、全ての行は成就し、故に願と行が成就するので浄土往生しないわけがない、ということなんですね。
以上となります。復習にお付き合いいただきありがとうございました。勤行後のお話ではもう少しかみ砕いた内容をお話しようと思いますので、楽しみにしていただけると幸いです。
それでは引き続きお彼岸、よろしくお願いいたします。
南無阿弥陀仏
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