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人に宿る仏性と欲求

4/22のブログです。


こんばんは。

法善寺住職の中山龍之介です。


昨日、ネットで注文していたカセットテープをデジタル化する機械が届きました。見た目はカセットテープレコーダーですが、パソコンと繋げて音源をデジタル化出来る、というものです。


祖父が全盛の頃はカセットテープの時代だったみたいで、たくさんのカセットテープが法善寺には残されています。古いので劣化が激しいものが多いのですが、まだ聞けるものもあるかもしれません。音源を後世に残すために、出来る限りのことをしてみようと思っています。


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人に宿る仏性と欲求

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さて、ネットニュースで『97人の父親になった男の苦悩』なる記事があり、タイトルが衝撃的だったので読んでみました。先に言っておくと、この男性はアメリカ人で、精子バンクに精子を提供したことで、生物学的な子供が97人いる、ということです。


精子バンクの仕組みがよく分からなかったのですが(運営会社によってルールも違うかもしれません)、母親は父親の個人情報を知ることができるそうです。母親側から『ありがとうございます』とSNSでDMがいたため、この男性は自身に沢山の子供がいることに気が付いたとのことです。


自分の子供だからといって、精子バンクを通じて出来た子供なので、養育費を払うことはなさそうです。ただ、自分に子供がいると分かったら関わろうと思うのが人の性で、この男性はその感情に苛まれて大変な思いをしているそうです。なんせ、97人です。私の30倍以上です。


とはいえ、今の時代において、精子バンクを否定することは出来ません。パートナーはいらないけど子供は欲しい、心は女性ではないけど子供は欲しい、年齢的にもラストチャンスにかけたい、など様々な動機があり、そのどれもが見捨てられて良いものではありません。


これらの気持ちに応えることは、少子化対策にも有効なはずです。アメリカでは、ドナーが介入して生まれてくる子供が年間で3〜6万人いるそうですが、年間出生数が80万人を割れこんだ日本においては小さくない数字です。もちろん、風土として受け入れられるためには様々な障壁があることは間違いありませんが。


色々と言いましたが、私が一番興味深かったのは、この男性が子どもたちを『他人』として見捨てなかったことです。むしろ積極的に関わろうとしている節さえあり、それによって苦しんでいるという事実もありますが、これこそが『仏性』と言えるのではないでしょうか。


精子提供は若い時、お金のためにやったそうですが、いまの行動はお金のためではなく、無償の『慈悲』がそこにはある気がします。また、『人と関わりたい』という気持ちが人間の根幹となる欲求の一つであることも感じられます。


このケースはあまりにも極端ですが(だからこそニュースになった)、機械的で合理的な手法を選んだとしても、やっぱり人の気持ちというものを排除することはできないんだなぁと思いました。AIが出てきたりして『人の価値』みたいなものが改めて見つめ直されていますが、このニュースにはその答えの一つが隠されているような気がします。


今日もブログをお読みいただき、ありがとうございます。タイトルが衝撃的すぎたけど、色々と考えさせられました。



南無阿弥陀仏

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