書道の変化
4/1のブログです。
こんばんは。
法善寺住職の中山龍之介です。
今日から四月、新年度です。木曜日でしたので、午前中は書道教室、夜には声明学園という習い事デーでもあります。一週間の中でも結構バタバタする日ですが、息子がいなくて(妻の実家にお預け中)静かなので、有意義に時間を使えた気がします。
では、エイプリルフールは無視してブログを書いていきます。
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自分の文字が変わった
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ということで、今日の書道の振り返りをしてみたいと思います。先週で課題は一段落しましたが、今日は法帖の課題提出がありました。
今は法帖で、短歌のかな交じり(平仮名と漢字が入り混じった文)の創作をしています。短歌が6つほど候補としてあって、そこから一つ選んで自分なりに作品に落とし込んでいく作業です。使う紙は『角額(かくがく)』という、全紙を横に二分の一に切ったサイズです。ちなみに縦に二分の一に切ったのが『半切(はんせつ)』で課題の時によく使うサイズです。
6つの短歌の内、私は若山牧水の『酒飲めば こころは晴れつ たちまちに かなしみ来り 畏(かしこ)みて飲む』という短歌を選びました。あまり他の人が選んでいないものということで、チャレンジしてみたら?と勧められたからです。
ちなみにこの短歌をざっくり説明すると、『お酒を飲むとたちまちに心が晴れる。だからこそ私はかしこまって頂くのだ』ということみたいです。こんな時期にもかかわらず、朝から上野でベロベロになってるおっちゃんに読み聞かせたくなる短歌ですね。
そして写真が私が書いた作品です。創作とは言っても何しても良いという訳では無く、いくつかルールみたいなものがあります。
まず1つ目は、左右天地にスペースを設ける。
2つ目は全体のフォルムを何となく丸くする(1行目は左に寄っていき、2行目以降は段々と右に寄っていく)。
3つ目は各行の最初と最後の文字の高さを揃えない。
他にもあるかもしれませんが、ざっと思いつくのはこれくらいです。簡単そうですが、この3つを守るだけでも結構大変です。日常では、規則正しく整列された文字を書くことが良しとされていますので、特に2と3はめちゃくちゃ意識しないと実践するのは至難です。
そんな中で書いた作品ですが、個人的には結構面白い出来上がりになったなーと思っています。良く私が言っている『字形の固定概念』が取り外せてきた気がして、書いてても面白かったです。自分の書道が明らかに変化していったのを感じました。『あれ、おれ、こんな字書けるようになったの?』という感覚です。
特に2行目の『こころは』のところ、並んだ『こ』に上手く変化をつけられました。細かい話になりますが、『こ』の1画目、私は普段書くときは必ず右下がりになっています。活字だとそうですし、小さい頃にそう習って、ずっとそう書いてきました。ただ今回は右上がりにすることが出来ました。細かすぎるかもしれませんが、固定概念を今回の『こ』では壊すことが出来ましたので、実はかなり大きな一歩だと感じています。
また、『こころは』の『は』の軽やかな感じは今まで出せていなかったと思います。字形としても、『は』の最後は『丸を作る』という頭になっている中で、つぶして書くことが出来ました。すぐ横の『酒飲めば』の『ば』と比べても、全然違う形になっています。
さらに、『畏』も良い感じに力が抜けていて、すぐ横の『かなしみ』との対比が面白いなーと思っています。潤渇を上手く表現できています。また、『畏』の字のバランスを敢えて崩せているので(頭でっかち)、大きな一歩です。地味にかなりお気に入りの文字に仕上がりました。
何だか自画自賛ですが、それだけ今回は自分の変化を感じられて、とても面白い経験をさせて頂きました。でもこれもポッと生まれた変化ではなく、意識し続けたからこそ生まれたものだと思っています。ちなみにこの短歌だけで10枚くらいは書いていて、一回一回先生と相談しながら、あーでもないこーでもないと試行錯誤しました。そういう下地があって生まれた変化ですので、尚更味わい深いものになりました。
とは言っても、一般的に見ればまだまだの腕前です。引き続き精進しながら、お気に入りのものが出来たらお寺の掲示板にでも飾ってみようと思います。そんな日が来るのか分かりませんが、お楽しみにしてくださると嬉しいです。
南無阿弥陀仏
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