浄土真宗所縁の場所を巡る旅を振り返る⑤
こんばんは。
法善寺住職の中山龍之介です。
今日はクリスマス。金曜日ですし給料日ですし、もしかしたら年内の仕事納めだった人もいるんじゃないでしょうか。平年なら大きな盛り上がりを見せそうな日ですが、コロナコロナで様変わりです。まあ僧侶である私にとってはあまり関係の無い日だったりするのですが。
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浄土真宗所縁の場所を巡る旅を振り返る⑤
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2年前の旅を振り返るシリーズも、気付けば11日目に突入しました。10泊11日の旅でしたので、振り返りが旅の長さを超えていくというへんちくりんなことになっていますが、ご勘弁ください。
さて、相変わらず注意書きは変わりません。あしからず。
今回のシリーズはあくまで『振り返り』ですので、いま旅に出ているわけではありません。私は東京にいます。また、実際に私が訪れた順番ではなくて、まとめるために関連性から順番を決めています。ご容赦ください。ちなみに写真は、全て私が(多分)撮影したものです。
今日は、親鸞聖人没後に所縁の生まれたお寺や、浄土真宗の宝物を所蔵しているお寺をご紹介します。
では、行きます。
●『園城寺(三井寺)』(滋賀県大津市)
~親鸞聖人の御木像を避難させたお寺~
↑仁王門
↑金堂
↑一切経蔵(内観)
滋賀県大津市園城寺町246にある天台寺門宗の総本山です。三井寺(みいでら)とも呼ばれ、そちらの方が耳馴染みがあるかもしれません。
本願寺との関係は、堅田の本福寺が比叡山の勢力から攻撃を受ける際に、親鸞聖人の御木像(根本の御影)をこの寺に避難させたことに始まっています。結局、文明元年(1469)に園城寺山内の南別所の近松の里に新しい坊舎(近松坊舎、現在の本願寺派近松別院)が建立されて、山科本願寺が完成されるまでの11 年間、御木像はここに安置されていました。
このお寺は、最寄り駅も三井寺というくらいの名刹です。国宝である本堂の金堂も良いですが、特に一切経蔵の迫力がすさまじく、今回の旅で最も印象的でした。これは是非生で見てもらいたいです。圧倒されます。
境内はとても広く、映画『るろうに剣心』の撮影地としても使われたそうです。宿坊も有名ですので、今度はゆっくり時間作ってお邪魔したい場所でありました。
●『大谷本廟』(京都市東山区)
~本願寺派・宗祖親鸞の墓所~
↑正門
↑本堂
↑裏に広がる墓地(全然写真に収まりきりません)
京都府京都市東山区にある浄土真宗本願寺派の宗祖親鸞の墓所です。文永9年(1272)に東山大谷の地に建立された親鸞の廟堂である『大谷廟堂』(のちの大谷本願寺)に由来しています。
江戸幕府は、西本願寺第十二世の准如上人時代の慶長8年(1603)に、知恩院の拡張造営に際して、大谷本願寺跡地の代替地として、宗祖親鸞が荼毘に付された『鳥辺野(とりべの)の南の辺、延仁寺』と伝わる『御荼毘所』に隣接する現在地を与えました。写真の通り、現在では大変多くの門徒さんがこの場所にお墓を所有しています。
大谷本廟は知恩院の近くにあり、さらにすぐ裏には清水寺が広がっています。私はこの大谷本廟から清水寺まで歩いて行ったのですが、その道中には数え切れないほどの多くのお墓がありました。京都の方々にとって、ここでお墓を持つことがステータスになっているのかなと感じました。
●『如意寺』(愛知県豊田市)
~親鸞聖人絵伝を収蔵~
↑正門
↑本堂
↑親鸞聖人絵伝(レプリカ)
愛知県豊田市力石町黒見にある真宗大谷派の寺院です。元々は関東の武蔵国荒木村(行田市荒木町)に荒木門徒の祖・源海が創立した満福寺から始まっているそうです。正中2年(1325)に、三河の青木原(豊田市花本町)に移り、覚如上人の『如』の字を頂いて如意寺に改めました。南北朝時代の親鸞聖人絵伝(三幅)を収蔵しています。慶長10 年(1605)に現在地へ移りました。
ご住職は不在でしたが、坊守と前坊守にご案内していただきました。親鸞聖人絵伝は、本物を拝見することは出来ませんでしたが、レプリカを見せて頂けました。私の様な、素行も分からないような人間に対しても丁寧に対応していただき、また夏には子供達が集まって流しそうめんをしたりと、地域に根差した、とても良いお寺だなーと感じました。
こちらの如意寺さんに訪問したのは旅の初日で、参拝の記念にと手首に巻けるような小さなお数珠を頂きました。実は新幹線に乗ってからお数珠を忘れたことに気が付いて困っていたので、渡りに船と言ったところで大変助かった記憶があります。今でも大事に保管しています。ありがとうございました。
●『願照寺』(愛知県岡崎市)
~親鸞聖人「安城の御影」を所蔵~
↑正門
↑親鸞聖人像
愛知県岡崎市舳越(へごし)町字本郷にある浄土真宗本願寺派の寺院です。親鸞聖人の弟子・専信房専海を開基としています。
親鸞聖人の『安城の御影』を所蔵していたことで知られていますが、第9世・実如上人(蓮如上人に息子さん)の時代に本山に寄贈され、実如上人の裏書があるその写本がこの寺に伝えられています。また、室町時代初期の『親鸞聖人絵伝』も所蔵されています。
『親鸞聖人絵伝』は現在、岡崎市美術博物館に収蔵されています。時間もあり、たまたま公開しているタイミングが合いましたので、美術館まで行って拝見してきました。館内撮影禁止でしたが、得度や流罪など、親鸞聖人の生涯の中でいくつかの大事な場面を描いた絵伝でした。
今日はこの辺で。後半にご紹介した愛知県の2つのお寺は、旅の初日に伺ったお寺でしたので、旅を始めたときの心境を思い出しました。『先長いな、、』と思っていたと思いますが、終わってみればあっという間でした。何事も、最初のうちは気が重いんですね。走り始めれば走り続けられます。このブログも同じです。
明日で、真宗所縁の場所は最終回になりそうです。お楽しみに。
南無阿弥陀仏
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